管理薬剤師の仕事っていったいどんなものなのでしょうか?
「いろんな管理業務をしなければならない店舗の責任者である」ということは何となくわかっていても、実際にどんなことを考えながら働いているのか気になりますよね。
今回は、ある管理薬剤師の一日をお話ししてみたいと思います。
通勤前の時間から通勤中など、今日はどんなことを話そうか、一日のスケジュールや役割分担はどうしようかといったことを考えながら出勤します。
そして朝礼。スタッフのモチベーションを上げるべく話をするのですが、スタッフの反応によって一喜一憂したりします。反応が薄いと時には落ち込んだりもします。が、そうも言っていられません。さて、業務開始です。
外来の患者さんがどんどん来局されるなかで、常に過誤が起きないか、患者さんの待ち時間がどうなっているのか。座って待っている患者さんの表情を伺いながらも慎重に調剤業務に励みます。まあこれは管理薬剤師に限らず普段から意識して働かれている方は多いでしょうけどね。
しかし、管理薬剤師は外来だけではなく、基本的にすべてのことに対して常にアンテナを張っている状態です。何か問題が起これば真っ先に飛んでいかなければなりませんし、スタッフの体調も常に見ています。電話が鳴ったらその度に反応し、「クレームの電話かな?」と聞き耳を立てたりもします。
ただ、誰よりもまず一番落ち着いていなければならない立場ですので、努めて冷静を装いながら働いています。過誤が発生した際にはもちろん真っ先に対応し、解決のために最善を尽くします。そのための心の準備なども常日頃、怠っていません。
外来もひと段落した時間帯になると休憩をまわすタイミングを考えながら業務をまわしていきます。公平だ不公平だという声がなるべく上がってこないようにある程度気を遣いながら昼の時間を乗り切ります。
何事もなく休憩時間が過ぎていったかと思えば、今度は製薬会社のMRさんの訪問が始まります。Drに新製品の紹介をしに行った結果、使ってみたいと言われている…といった話を聞きます。「また同じ系統の薬か…」とウンザリ。
そこで門前のDrのところまで足を運んで、採用薬について話をしに行きます。ちょっと前の話ですが、例えばDPP4阻害薬などに関してはどれもこれもすべてのメーカーさんの薬を薬局の在庫として置いておくわけにはいきませんよね。そこは管理薬剤師の腕の見せ所です。
ある意味Drにプレゼンをするような形で、現状の在庫数でなんとかまわしてもらえるようにお願いします。無理な場合でも、どれか薬剤を減らすことができないか交渉します。「店の在庫的にも厳しいので…」とそこは正直に言いますし、そのようなことが言えるような関係を普段から作る努力をしています。もちろん薬剤どうしの比較や様々なエビデンスなどを含め、専門的な話をしたうえでの話ですよ。
結果的に、負担金などにおいても患者さんにメリットがあれば言うことはないので、そのあたりの話も武器にDrと交渉します。こうして在庫が膨れていくこともなく、患者さんにとってもメリットがあり、さらに専門的な話ができる相手だというようにDrからの信頼も勝ち取ることができるような立ち回りを日々考えているのです。
さあ、ようやくDrとの話しが終わったと思い薬局に戻って来ると、あるスタッフから「話がある」と別室に呼ばれます。そして誰かの愚痴、不平、不満…。
そのスタッフの言うことを100%叶えてあげることは当然できませんが、何らかの対応はしてあげないといけません。
本社に意見を上げる、誰かに対する不満ならどうしていけば解決策が見出せるかを話し合う、愚痴であればある程度聞いてるふりだけしてスルー…ということも…。
このように薬局内のスタッフの問題に対しても日々対応していかなければなりません。
ゆっくりしている間もなく午後診を迎え、午前診と同じようにまたあちこちにアンテナを張って動き回ります。
閉店。お金が合いません。
事務さんが一生懸命計算してくれています。
他の薬剤師は「お疲れ様でーす」…。
当然私も「お疲れ様でーす!」
…と帰るわけにはいきませんよね。一緒に原因追及に当たります。レジの打ち忘れ、つり銭間違い、そして事務さんの愚痴…。
最終的にお金が合わず、報告書作成です。
「あぁ…私もスッと帰りたかった…。」
こうして一日が終了していくのです。
管理薬剤師の一日についてお話してきましたがいかがでしたでしょうか?
いろんな一日がありますが、常にいろんなところにアンテナを張って汗を流しているのはいつも一緒です。
基本的には患者さんのために何ができるのか、店舗としてどうやっていけば良い店になっていくのかということを第一に考えて働いているのですが、それもこれも実現するためには、スタッフが笑顔で働くことのできる環境づくりが一番大切だとも考えています。
そのためにはある程度の自己犠牲の気持ちも必要であり、なによりスタッフから信頼されることも大切だと考えています。でも…正直、早く帰りたい。
そんなわけで、また明日からも頑張りたいと思います。