平成28年度の改定からかかりつけ薬剤師制度が始まり、平成30年度の改定においてはさらに条件が修正されたうえで、国は制度を定着させようとしています。
そんななか、かかりつけ薬剤師の現状や今後について気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、かかりつけ薬剤師の現状とこれからのかかりつけ薬局の負担のあり方についてお話ししていきたいと思います。
それではまず、かかりつけ薬剤師制度の算定要件のおさらいをしておきたいと思います。
以上のようなものでした。
今回の改定から当該薬局の在籍期間が6ヶ月以上から1年以上に延長されましたよね。より長く同じ地域にとどまって、地域医療に貢献するように求められているというわけです。
ちなみに平成28年度の改定から始まったかかりつけ薬剤師指導料の算定実績は、1年が経過した時点で処方せん全体の1%程度とのことでした
また、かかりつけ薬剤師制度を利用している患者さんの意見として、「薬をすべて把握してくれているから安心」「詳しく説明してくれるから助かる」といった声があがっているとのことです。さらに、重複投与や相互作用の防止割合に関しては、薬剤服用歴管理指導料算定時に比べて高かったとの結果が得られたとのことでした。
この結果を受けて、現場で働かれている薬剤師の先生方はどのように感じられますでしょうか?
「現状で満足している」という方は少ないのではないでしょうか。また、裏を返せば患者さんにおいても100人のうち99人はこの制度を利用していないというのが現実です。
このような現状から考えても、かかりつけ薬剤師制度としては、現場レベルにおいてはまだまだ満足のいくものではないと言うことができるでしょう。
そのような現状と言えど、平成30年度の改定以降も、ますますかかりつけ薬剤師として求められるものは多くなっていくことが予想されます。
勤務時間外であろうとも対応できるようにしておかなければならないのはこれからも変わりませんし、超高齢化社会を迎えるにあたってはますます必要が出てくる可能性もあります。すなわち、薬局としてではなく、個人レベルで『24時間体制』をしなければなりません。
現にかかりつけ薬剤師が数名働いているような職場では、キチンと勤務体制なども整っており、個々の負担が分散されるように考えられている職場もあります。24時間対応のための携帯電話もきちんと個々に支給されているような会社も存在し、中には携帯電話を持ち回りにしているような会社もありますよね。
しかし、かかりつけ薬剤師が複数名在籍しているにも関わらず、携帯電話はすべて店長の電話番号で対応しているような薬局も存在します。会社から電話が支給されず、個人の携帯電話を使用しているような方も存在するのです。
そのような薬局に転職した際、個人携帯を使用しなければならない可能性がありますし、いずれ管理薬剤師をしようと思われている方にとっては将来的にすべての患者さんの電話の対応もしなければならない可能性もあります。別に手当てがきちんと付くのであれば納得できるかもしれませんが、手当てなど一切ない会社ももちろんたくさんあります。
このように、いわゆる『24時間体制』とうまく付き合っていくためには、会社として体制を整えていく必要があるにも関わらず、追い付いていない企業は数多く存在するのです。
言い方は悪いかもしれませんが、その負担すべてを管理薬剤師に抱え込ませるような会社も存在します。もちろん管理責任者として先頭に立って引っ張って行くことは大切ですが、そのすべての負担を一人で背負うには厳しいのがこの『24時間体制』です。
「実際に電話がかかってくるのは少ない」と言われる方もいらっしゃるかもしれませんが、来るか来ないかもわからない電話を24時間受付する態勢にいなければならないのは想像以上にストレスがかかるものです。それこそ2時間ものの映画を映画館で観ようとした直前に電話がかかってくるかもしれませんからね。
それらのことも踏まえたうえで、納得のいく転職先を選択していただく必要があるのではないかと思います。
いかがでしたでしょうか。
かかりつけ薬局・薬剤師の現状と負担のあり方などについてお話してきましたが、参考にしていただくことはできましたでしょうか。
制度に対する現場レベルでの現状も把握していただいたうえで、慎重に転職先を検討してくださいね!