薬剤師が飽和状態になると言われてからかなりの年月が経ちましたが、みなさんの住まれている地域ではいかがでしょうか?
実際に都市部では「薬剤師は飽和状態になっている」という話も聞くようになってきましたが、一方で地方ではそこまで充足しているとは言えないような状況のようです。
全国的に見れば薬剤師の求人は豊富に存在し、転職市場を見ても大きな変化はありません。
しかし、将来的には飽和状態が訪れる可能性が十分に考えられます。そうなった場合、売り手市場だった薬剤師の転職市場も買い手市場となり、薬剤師が求人を選ぶのではなく、企業が薬剤師を選ぶことになります。
そんな薬剤師に厳しい時代となった場合、薬剤師の強みになるスキルとはいったいどのようなものなのでしょうか?
まず想像していただきたいのですが、みなさんはどんな薬剤師が職場に来られたら「ヤバイ!勉強しなきゃ!」と思われますか?
普通に調剤経験があり、それなりに調剤技術もあって即戦力になる薬剤師の方が転職で入って来られたら、仕事が楽になりますので「助かる~!」という気持ちにはなると思いますが、「ヤバイ!」という感情は抱かないと思います。
「ヤバイ!」と感じるのは、自分には無いスキルを持った薬剤師が入って来られた時に感じる焦りにも似た感情なのではないでしょうか。
そのスキルこそ薬剤師が転職する際に強みとなるスキルなのです。普通に調剤薬局で働いているだけでは得られないような、他の薬剤師の方に差をつけられるようなスキル。それはいったいどのようなものなのでしょうか。
基本となる調剤経験なんてものは、1~2年調剤薬局で勤務していれば簡単に身についてしまいます。また、いくら調剤スピードが速くても、そんなものは機械が取って代わる時代がやってくる可能性があります。
勿論、基本的な調剤技術は重要ですが、プラスアルファの部分、調剤薬局では経験できないようなスキルを伸ばしておくことで、将来転職の必要が出てきた際には必ず強みになってきます。
また、将来的に在宅医療はより高度化し、薬剤師の果たす役割も増していくことでしょう。
必要に迫られてから勉強しているようでは他の薬剤師の方に差を付けることはできませんし、転職の際、「これから身に付けていくつもりです」なんて言っても何の強みにもなりませんよね。
なんせその頃には薬剤師飽和状態になっているかもしれないのですから。
無菌調剤や褥瘡ケアの知識は実際に今働かれている店舗で身に付けるのは難しいかもしれませんが、各地で勉強会などが盛んに開かれるようになってきています。
「今は必要ないから別に受講しなくてもいいや」と考えられている方がほとんどなのではないかと思うのですが、そんな今だからこそ積極的に勉強しておくことで他の薬剤師の方と差をつけておくことができるのです。他職種連携においても必ず役に立ちます。
また、OTCやサプリメントといった処方せん調剤とは直接関係の無いところでも、薬剤師としての知識を身につけておくことで今後の健康サポートやセルフメディケーションなどにも役立たせることができるでしょう。
そしてIT。薬剤師の方で強い方もたまには見かけますが、全体的には弱い方の方が多いのではないでしょうか。
特に医療業界においてはIT革命が遅れているとも言われています。
遅れているからこそITに強くなっておくことで、どんな職場に転職してもきっと重宝されるようになります。
プログラミングレベルの学習となると難しいかもしれませんが、一歩踏み込んだPCやインターネット、SMSの活用方法を学ぶことで、より仕事の幅が増えることでしょうし、転職の際には確実に有利になるでしょう。
これからの医療において、IT化はどんどん進んでいくことでしょうし、絶対に避けては通れません。
意外と思われるかもしれませんが、接客技術というスキルも薬剤師にとって重要なものになってくると考えられます。
知識や経験が豊富でもそれを人に伝える技術が不十分であれば役立てることが出来ませんし、IT技術がどんなに高度に発展したとしても、人が人に伝えるという部分は不変です。
患者さんと上手く接することが出来る方、医師や関連企業の方と上手く連携できる方、ドラッグストアであればお客さんから人気がありお店の顔となれる方なども重宝される筈です。
このように、5年先、10年先の薬剤師の業界を見越してスキルを身に付けておくことが大切であり、将来、転職が必要になった際には必ず有利に働いてくれることでしょう。
いかがでしたか?
まだまだ薬剤師飽和時代は先のことかもしれません。
しかし、今からできることは率先してやっておくことで、将来に必ず活きてきます。転職しても転職しなくても貴方のプラスになることは間違いありません。
一気にすべてのことをやろうとせずに、一歩ずつ確実にスキルを身に付けていってもらえれば、きっと将来みなさん自身を助けてくれることでしょう。