「薬剤師は転職しないと給料が上がりにくいってホント?」という質問をされたとすれば、答えは「ホント」です。
まだまだ薬剤師不足の地域が多いなか、手っ取り早く年収を上げたいのであれば、転職によって人出不足の薬局に転職することがまず間違いなく一番の近道でしょう。
特に新卒~5年目くらいの方であれば、確実に今の年収よりもアップさせることができます。
うまくいけば年収にして100万~200万円ものアップも実現可能です。
これだけ聞かれると「今すぐにでも転職したい!」と思われるかもしれませんね。
ただし、もちろん注意していただきたいこともあるんです。
今回は人生設計で考える薬剤師の年収についてお話ししていきたいと思います。
さて転職によって年収が上がるとわかれば、サッサと今の職場とはサヨナラしてすぐにでも転職しようと考えられる方もいらっしゃいますよね。
ただし、もちろん注意しておいていただきたいことがあります。
それは転職を繰り返せば繰り返した分だけ年収が上がるというわけではないということです。
世間には年収の相場というものがありますので、仮にみなさんが飛躍的に年収アップを実現されたとしても、その年収がそこから右肩上がりにはならない可能性もあるのです。
転職先によっては昇給率の極端に低いところもあるでしょうし、転職すればするほど年収があがるというような簡単なものでもありません。
もちろん相場を超えて年収が上がっていくということもないでしょう。
しかし、転職をせずに同じ会社でずっと働いた場合、その会社での立場を上げていかないと、年収が頭打ちになってしまうのもこの業界では非常に多いものです。
特に大手の調剤薬局、ドラッグストアチェーン店などになると、店長、エリアマネージャークラスまでは順当に年収が上がっていっても、そこからは右肩上がりにグングン上がっていくということが少なくなっていきます。
会社によっては年収が上がらないばかりか、いくら残業をしても残業代が出なくなってしまう可能性もあるのです。
特にエリアマネージャーなど、各店舗を巡回したり、行政対応をしたりするような立場になると、シフト勤務という概念すらなくなることもあるのです。
つまり365日働いているようなイメージの方もたくさんいらっしゃるというわけです。
ドラッグストのエリアマネージャーともなると休日でも関係なく電話がかかってきたりしますからね。
そのような働き方が合っているという方は問題ないでしょうけど、「思っていたのと違う」と感じ、転職をされる方は実際のところたくさんいますし、それが40代後半にもなってくると高年収で受け入れてくれるような転職先は極端に少なくなっていくのです。
もちろん、さらなる年収アップを望めるほど簡単な転職ではなくなっているでしょう。
そもそもみなさんが理想とされる年収っていくらぐらいでしょうか?700万円以上?それとも1000万円以上?
おそらく人によって基準は大きく異なってくるのではないかと思いますが、「これ以上はクリアしたい」という目標を立てておくことも大切です。
もちろん、企業であれば立場を上げていくことによって給与ベースが上がっていくことはあるでしょうけれど、そのぶん抱える責任や勤務時間は増えていくことでしょうし、理想の働き方からはかけ離れていく可能性もあります。
つまり、年収ばかりを追い求めた結果、自分自身がその立場についていけなくなり、ある意味『逃げるような転職』を余儀なくされる可能性が出てくるのです。
確かに若いうちに転職によって年収を上げることはそれほど難しいことではないでしょう。
しかし、だからといって決して安易に転職を決めるべきではありません。
特に社会人5年目くらいまでの方のなかには「あまり深く考えていない」という方もいらっしゃるのではないかと思うのですが、まだこれから30年以上働く必要があるのです。
『転職=給料アップ』という考えだけで転職を繰り返してしまうと、本当にやりたいことが見つかって転職をしようとした思われた際に、『ただ転職を繰り返してきただけの薬剤師』と見なされ、給料をグッと抑えられてしまう可能性があるのです。
薬剤師飽和時代はもうそこまでやってきているのですから。
大切なことは、高年収を実現させることを優先させるのではなく、長い人生設計の中でみなさんが必要とされる年収と働き方をしっかりと見極めたうえで、本当に意味のある転職を選択していただくことなのです。
人生設計で考える薬剤師の年収についてお話してきましたがいかがでしたでしょうか。
転職をせずにみなさんの納得のいく年収を実現できるのであればそれも一つの選択肢です。
転職によって年収をアップし、さらにやりがいのある仕事に就くことができるのならそれも選択肢として考えていただくのも良いでしょう。
ただし、年収だけを追い求めるような転職は決してなさらないでくださいね。
今回の記事を読んでいただき、少しでも参考にしていただくことができましたら幸いです。