病院への転職:気になる年収と病院における薬剤師の仕事とは?

薬剤師としての資格を存分に活かせる仕事がしたい、と考えると病院薬剤師としての仕事が思い浮かぶでしょう。しかし、ドラッグストアや調剤薬局とは、どんな仕事の違いがあるのでしょうか。

今回は病院薬剤師の仕事をご紹介いたします。

1.病院薬剤師の実際のお仕事とは?

病棟の巡回

週に1度は入院している患者さんの全員の様子を診て回ります。医師や看護師、リハビリ担当などと一緒に回ることもあれば、時間が開いた時に薬剤師1人で行くこともあります。

患者さんのベットサイドへ行き実際にコミュニケーションを取りながら把握します。投薬後の体調や副作用が出ている場合は辛くないか、他の薬で抑えることができないか話すこともあります。

薬の情報提供

患者さんに薬の説明を行うのはもちろん、新薬に関する情報を看護師や医師と共有します。病院によっては制約会社のMRと共同で勉強会を実施することもあります。

院内処方や化学療法室、病棟で使用する薬の準備

処方箋の内容により院外ではなく院内処方が出た時は処方箋鑑査、調剤、服薬指導等を行います。

ガン等で化学療法を通院で行っている患者さんの場合、副作用や体調により投与する量が変わるため、医師と相談しながら薬剤の準備をしまいます。

また、病棟で使用する内服薬、高カロリー輸液(IVH)や、抗ガン剤の調合や注射剤の準備を行います。

病棟の患者さんには手術などの治療後の人もいます。治療後の日数に応じて投薬する薬の種類や量が変わることもあるため、間違いのないように確認をしながら調合していきます。

特に、注射剤は内服薬よりも副作用が出やすいため、より慎重に投与量や投与経路を確認・検討します。

また、医師と協議して血中濃度に基づいた薬剤治療モニタリング(TDM)を行います

同じ薬でも副作用が出てしまう患者さんがいるため、その患者さんに合った薬の量を計算して医師に提案することもあります。

薬剤課カンファレンス/ミーティング

薬剤課全体でミーティングを行い、患者さんの状態や薬に関する情報の共有、業務改善について話し合います。

薬剤課カンファレンスとは別に、他の病棟の薬剤師とは1週間ごとに情報の共有を行います。

委員会活動

病院の中には様々な委員会が設置されています。

例えば、感染症対策委員会、輸血委員会、接遇員会、診療報酬委員会、個人情報保護委員会などがあり、治療に関するものから病院経営に関するものまで様々あります。

指導記録の入力

患者さんの情報を入力します。バイタル、検査数値、話した内容を記録して医師や看護師等と共有します。

病院薬剤師の年収は?

  • 未経験者(新卒レベル)で400万~650万
  • 経験者で550万~800万

大学病院の初任給は公立で25万、私立で25万と一般よりも低めですが、勤続年数に応じてアップしていきます。公立病院の場合は公務員扱いのため、給与体形は私立よりも良くなりますし、退職後の恩給もあります。

薬剤師の年収につきましては「2017年厚生労働省発表データで見る薬剤師の平均年収・給料」でも触れていますので宜しければご覧ください。

調剤薬局への転職:失敗しない為に知っておきたい仕事内容と年収目安 

転職先として調剤薬局を検討している人もいると思います。調剤だけをしていればいいから、雑務の多いドラッグストアより薬剤師としての資格や知識を活かせそうと考えている人もいるでしょう。

実際はどうなのでしょうか?

1. 薬局の所在地で主な処方薬が違う

基本的にどこの薬局でも入口には「全国どこの病院の処方箋でも扱います」と書いてありますが、基本は近所に何科の病院があるかで、主な処方薬が決まります。

また、病院と調剤薬局につながりがあれば、病院の方で「向かいの●●薬局に処方箋を出してください」と初診の患者さんに案内をしていることもあります。

ですから、近所に内科や小児科のクリニックが多ければ内科や小児科の薬を中心に置くようになりますし、大きな病院の前にある薬局(門前薬局)では、すべての科に対応できるようにしています。

転職する際には、自分が何科に強いのかしっかり見極めたうえで、自分に合った調剤薬局を探しましょう。

2. 実際の仕事内容は?~内科・小児科編~

調剤薬局の主な仕事内容は、処方箋鑑査、保険証番号の確認、調剤、服薬指導(重複薬や相互作用の確認)、薬歴管理、医師への疑義照会、在庫管理などです。

ここで、とある内科・小児科のクリニックメインの調剤薬局の実情を紹介します。

この薬局では1日平均80人前後の患者さんが来ますが、閑散期は40人程度、風邪やインフルエンザが流行する時期は200人を越える患者さんが来ます。

混むかどうかの事前予測できないため在庫管理が難しく、当日すべての薬を渡すことができずに、残りの薬が入荷次第患者さんに取りに来てもらうこともあります。

小児の風邪の場合は粉薬が処方されることが多く、分包機をフル稼働させなければなりませんが、ここに内科の一包化の処方せんが入った場合、機械は1台しかないので作業が滞って時間がかかることがあります。

しかも長期処方があると、余計に時間がかかります。

仮に60日分だと朝昼夜寝る前で240包。1度に分包できるのが、機械により42~60包として、最低でも4回機械を回します。

最後に240包の1つ1つにゴミが入ってないか、間違いがないかを確認します。

また、1枚の処方せんに薬が多く処方されている場合には、監査するだけで目が痛くなることもあります。

さらに、少人数の調剤薬局のため、患者さんや医師からの急な問い合わせの電話で時間を取られて調剤する人がいなくなり、患者さんから「自分のはまだですか?」と言われることがよくあります。

服薬指導では用法や用量について説明を行いますが、病気で耳が遠くなっている方や、ご高齢の方、子供1人で来る場合もあり、コミュニケーション能力が問われます。

3. 調剤薬局の年収とは?

未経験者(新卒レベル)で400万~600万

経験者で550万以上

ただし、医師や薬剤師が不足している地域では、年収800万という調剤薬局もあり、地域により年収が変動するという特徴があります。

なお、調剤薬局には管理薬剤師必要ですが、管理薬剤師には特別な資格はありません。

そのため、就職後会社が認めれば6ヵ月で管理薬剤師として調剤薬局を任されることもあります。

薬剤師の年収につきましては「2017年厚生労働省発表データで見る薬剤師の平均年収・給料」でも触れていますので宜しければご覧ください。