2018年4月の診療報酬改定において、医科、歯科、調剤を合わせた『全体的な改定率』はプラス改定であると言われていますが、調剤薬局全体にとっては相変わらず『マイナス改定』と言わざるを得ないような内容になりました。
このような状況においてわれわれ調剤薬局に勤務する薬剤師は、どのように考えどのように行動すれば良いのでしょうか。また、転職時に注意すべきことや本当に求められる薬剤師とはいったいどのようなものなのでしょうか?
今回は2018年調剤報酬改定の内容を踏まえたうえで、転職市場で求められる薬剤師像について考えていきたいと思います。
それでは今回の診療報酬改定での主な変更点およびその考察についてお話ししていきます。
以上、変更点のあるものを中心に抜粋しました。
まず全体を通して言えることは「医療費削減に貢献している」「患者中心の医療を軸に地域支援を行う体制にある」「病医院との連携を積極的に行っている」といったことが焦点になっているというところでしょう。
最も大きな変更点として、「地域支援体制加算」が新設されました。この地域支援体制加算の算定要件は従来の基準調剤加算のものよりもかなり厳しくなりました。「薬剤師もいい加減に目に見える形で貢献しろ」と国から言われているものと捉えられます。
また、大型門前薬局のように、ただ待っているだけで処方せんが流れてくるような薬局に関してはより厳しく評価されるようになり、数で儲けようとするものに対しては減算していくという姿勢も見てとれます。
一方、今回の改定では内服調剤料の微減はありましたが、それ以外の一包化加算などに変更はなく、ひとまず安心といったところでしょうか。しかし、いわゆる対物業務に関しては今後の改定において減算されやすい部分であり、今回はその序章に過ぎないと捉えておく必要があるでしょう。『対物から対人へ』という動きは今回の改定でも随所に見られるものとなりました。
それではこれらのことを踏まえたうえで、実際に求められる薬剤師像について考察していきたいと思います。
やはり長期的には目先の改定にとらわれない、真に必要とされる薬剤師が転職市場においても有利になっていくでしょう。
いずれ薬剤師飽和時代がやってくると言われています。つまり、売り手市場から買い手市場へとシフトしてしまうのです。いくら調剤経験が豊富であっても、管理薬剤師経験があったとしても、実際の中身が伴っていなければこれからは確実に生き残っていくことができなくなってしまうでしょう。雇う側もそのあたりを比較するようになります。
残念ながら薬剤師は責任を負うことが極端に少ないと言われることがあります。ただ処方せん通りに調剤し、難しい質問があれば「医師に相談してください」と言って逃げる…。このように見られているという部分は否定できないでしょう。
ただし今後は、薬剤師も責任を持って判断し、患者の治療に対して決断を必要とされるようなシーンが増えてくるでしょう。そうしなければ評価されない時代が必ずやってきます。
今回の改定では調剤料の大幅なマイナスはありませんでしたが、いずれ大幅に下げられる日がやってくるでしょう。
そんな時やはり必要とされる人材は、薬剤師として薬学的に判断し、疑問のある処方に対して声を上げることができるような人材です。
患者さんにとって何が必要なのか。求められていることに対していかに責任を持って行動に移すことができるのか。
このような考え方や行動力、その実績を伴った薬剤師が今後ますます価値を高めていくでしょう。
そのためには日々の自己研鑽はもちろん、目先の改定に左右されない準備が必要になってきます。
転職をお考え中の方は、ご自身の希望条件などを伝えることももちろん大事ですが、これまで述べてきたようなこともアピールできるようにしておいていただくと、『価値ある薬剤師』と見られるようになるでしょう。
2018年診療報酬改定による変更点とこれからの転職市場で求められる薬剤師についてお話してきましたがいかがでしたでしょうか。
もし転職を検討されている方がいらっしゃれば、今回の記事をぜひ参考にしていただければ幸いです。