調剤薬局の現場において求められる人物像について、みなさんはどのように思い描かれるでしょうか?
もちろん今まで経験してこられた職種や立場などによって人それぞれ違いますので一概に言えるものではないとは思いますが、50~60代のベテラン薬剤師ともなるといろんなことを求められるのではないか…と考えてしまいますよね。
でも実はそこまで深く考える必要はないんですよ!ちょっと注意しておいていただきたいことについて意識さえしていただければ大丈夫なんです。
今回はそんな50~60代のベテラン薬剤師に求められる人物像についてお話ししていきたいと思います。
まず第一に心に留めておいていただきたいことは、どんなにベテラン薬剤師の方であっても新しい職場では新入りだということです。まずはそのことをご自身でしっかりと受け止め、理解し、常に頭に置いてもらう必要があります。
まずはその気持ちをしっかりと持っていただくことで、次にお話しする『振る舞い』が理解していただけるのではないかと思います。
ベテランにもなると謙虚に振る舞うということはそう簡単なことではありませんよね。新しい職場に行けば若手は20代から中堅の30代、40代の方まで実に様々な年齢層の方が働いています。これまでみなさんが指導してこられたような年齢の方ばかりです。
そんな中で、まずはいかに謙虚に振る舞うことができるか。もちろんすべてにおいて敬語で、気を遣い過ぎなければならないということではありませんが、新しい職場では教えてもらうことも多いはずです。常に謙虚な姿勢でどんなに年下の方に対しても最低限の礼儀は忘れないようにしましょう。
そして安心感を与えてあげることも大切です。
ベテラン薬剤師の良いところはそこにいるだけで安心感が得られるということ。特に調剤薬局は若い世代の方が多く活躍されています。クレーマーのような少し面倒な方が来局された際、率先して出てあげるなどの振る舞いを見せることで、グッと信頼感が増し、安心感を与えてあげることもできるでしょう。
このようにまずは謙虚に振る舞い、ベテランならではの安心感を与えてあげることがとても大切なのです。
ベテラン薬剤師ともなると、もちろん経験値は非常に高く、転職先の調剤薬局の様々な仕事に対して疑問に感じることや改善した方が良いと感じるような点がいくつか見つかることでしょう。
しかし、みなさんが今までされてきた仕事がどんなに効率が良く素晴らしいものであっても、そのやり方を急に押し付けてはいけません。
その調剤薬局で働かれてきた方々は、そのやり方で今まで問題なく過ごしてこられたはずです。転職してすぐにあれこれ指摘してしまうと、既存のスタッフはみなさんに対して警戒心をおぼえ、構えてしまうことでしょう。
1年、2年と過ごすなかでまずは互いに信頼関係を構築し、その薬局の店長や管理薬剤師などと意見を交わしながら改善点を見出していくような振る舞いをすることで、確実にベテランとしても頼りにされるようになっていくことでしょう。
ポイントは、急がずにじっくりとまずは信頼関係を築くことです。
しかし、会議など大勢の主要メンバーがいるような場ではなく、店舗のスタッフの会話の中で「僕だったらこうする」「私はこうしてきた」「この会社のやり方はちょっとおかしい」などというように、その薬局・会社の文句を言ってしまってはたちまち信頼を失い、結果的に自分自身の首を絞めてしまうことになってしまいます。
調剤薬局という場所は会社が変わればやり方がまったく違うものですので、まずはしっかりとその薬局の考え方ややり方を学び、おかしいと感じることがあっても、文句のような形でまわりには話さず、直接、管理薬剤師やさらにその上の方などと話しをするなどの対応をとった方がいいでしょう。
転職先では目につくことも当然たくさん出てきます。ただ、「ここのやり方はおかしい」などというように批判や批評をしてしまうとたちまち状況は悪くなっていまいます。どんなにその発言が正しい内容であっても、文句のような発言はご自身の質を落としてしまうことにもなってしまうのです。
大切なのは「一緒により良い店、会社を作っていきましょう」というスタンスで話すこと。そうすることでベテランとして煙たがられてしまうのではなく、頼りにされるようになっていくことでしょう。
50~60代ベテラン薬剤師の転職における調剤薬局の現場で求められる人物像についてお話してきましたがいかがでしたか?
謙虚であり、まずは信頼のおける人であると感じてもらえるような振る舞いを見せることこそが大切であり、求められる人物像なのです。目につく問題点などに対する指摘も時や場所、相手などを選んでいただく必要があるでしょう。
最初から自分は!自分が!というスタンスでは上手くいきません。言いたい事も多々あるかもしれませんが、まずは信用・信頼を積み重ねるところから始めてみてください。