転職先として調剤薬局を検討している人もいると思います。調剤だけをしていればいいから、雑務の多いドラッグストアより薬剤師としての資格や知識を活かせそうと考えている人もいるでしょう。
実際はどうなのでしょうか?
1. 薬局の所在地で主な処方薬が違う
基本的にどこの薬局でも入口には「全国どこの病院の処方箋でも扱います」と書いてありますが、基本は近所に何科の病院があるかで、主な処方薬が決まります。
また、病院と調剤薬局につながりがあれば、病院の方で「向かいの●●薬局に処方箋を出してください」と初診の患者さんに案内をしていることもあります。
ですから、近所に内科や小児科のクリニックが多ければ内科や小児科の薬を中心に置くようになりますし、大きな病院の前にある薬局(門前薬局)では、すべての科に対応できるようにしています。
転職する際には、自分が何科に強いのかしっかり見極めたうえで、自分に合った調剤薬局を探しましょう。
2. 実際の仕事内容は?~内科・小児科編~
調剤薬局の主な仕事内容は、処方箋鑑査、保険証番号の確認、調剤、服薬指導(重複薬や相互作用の確認)、薬歴管理、医師への疑義照会、在庫管理などです。
ここで、とある内科・小児科のクリニックメインの調剤薬局の実情を紹介します。
この薬局では1日平均80人前後の患者さんが来ますが、閑散期は40人程度、風邪やインフルエンザが流行する時期は200人を越える患者さんが来ます。
混むかどうかの事前予測できないため在庫管理が難しく、当日すべての薬を渡すことができずに、残りの薬が入荷次第患者さんに取りに来てもらうこともあります。
小児の風邪の場合は粉薬が処方されることが多く、分包機をフル稼働させなければなりませんが、ここに内科の一包化の処方せんが入った場合、機械は1台しかないので作業が滞って時間がかかることがあります。
しかも長期処方があると、余計に時間がかかります。
仮に60日分だと朝昼夜寝る前で240包。1度に分包できるのが、機械により42~60包として、最低でも4回機械を回します。
最後に240包の1つ1つにゴミが入ってないか、間違いがないかを確認します。
また、1枚の処方せんに薬が多く処方されている場合には、監査するだけで目が痛くなることもあります。
さらに、少人数の調剤薬局のため、患者さんや医師からの急な問い合わせの電話で時間を取られて調剤する人がいなくなり、患者さんから「自分のはまだですか?」と言われることがよくあります。
服薬指導では用法や用量について説明を行いますが、病気で耳が遠くなっている方や、ご高齢の方、子供1人で来る場合もあり、コミュニケーション能力が問われます。
3. 調剤薬局の年収とは?
未経験者(新卒レベル)で400万~600万
経験者で550万以上
ただし、医師や薬剤師が不足している地域では、年収800万という調剤薬局もあり、地域により年収が変動するという特徴があります。
なお、調剤薬局には管理薬剤師必要ですが、管理薬剤師には特別な資格はありません。
そのため、就職後会社が認めれば6ヵ月で管理薬剤師として調剤薬局を任されることもあります。
薬剤師の年収につきましては「2017年厚生労働省発表データで見る薬剤師の平均年収・給料」でも触れていますので宜しければご覧ください。